天然腐植入り肥料/日本肥糧株式会社

固形肥料®(天然腐植入り肥料)の特長

「固形肥料®」は、肥料原料に天然腐植(木質泥炭)を加え、物理化学的な加工工程を加えて製造した環境にやさしい肥料です。肥料の品質の確保等に関する法律では、「成形複合肥料」に分類され、化成肥料や配合肥料とは別の分類になっています。この肥料は、天然腐植(木質泥炭)の機能を活用し、肥効を緩やかにして植物への吸収効率を高め、また、環境への流亡を抑えることを目的に作られました。そして連用することで、作土への腐植の供給と微生物活性を高める効果もある「作物と土にやさしい肥料」として普及しています。
肥料の名称は、「固形肥料®」、「粒状固形肥料®」ですが、最近では、生産者にわかりやすい呼びかたとして「天然腐植入り肥料」と紹介しています。

天然腐植入り肥料の使用原料及び製造方法など

天然腐植入り肥料の原料には、窒素、りん酸、加里などの肥料原料と天然腐植(木質泥炭)があります。木質泥炭は、数万年から数十万年前の樹木が地中の比較的浅い地層で堆積し、地熱や微生物などにより分解され、ゆっくりと腐植化したものです。また、木質泥炭は、リグニン質腐植が主体なので、安定した構造をもち、マイルドな肥効を発現させる保肥材としての働きがあります(写真1)。

写真1 天然腐植(木質泥炭)
写真1 天然腐植(木質泥炭)
図1 天然腐植入り肥料の製造工程
図1 天然腐植入り肥料の製造工程

天然腐植入り肥料は、2つのタイプがあります(写真2、3)。

固形タイプ

写真2 天然腐植入り肥料「固形タイプ」
写真2 天然腐植入り肥料「固形タイプ」

肥料原料と天然腐植(木質泥炭)を配合し、混練したものを成形機で加圧して成形したものが「固形タイプ」になります(写真2)。形は桃核(桃の種)状です。

粒状タイプ

写真3 天然腐植入り肥料「粒状タイプ」
写真3 天然腐植入り肥料「粒状タイプ」

肥料原料と天然腐植(木質泥炭)を配合、混練し、造粒機で製粒したものが「粒状タイプ」になります(写真3)。

天然腐植入り肥料の特長

窒素と加里の溶け出し方が緩やかで長持ちする

天然腐植入り肥料の断面を光学顕微鏡で見ると、肥料原料を天然腐植が包み込んでいる状態が観察できます(写真4)。天然腐植は陽イオンを吸着する能力を持っており、窒素、加里の溶出を緩やかにしますので、環境にやさしく土を荒らさない肥料です。
代表銘柄の「くみあい粒状固形肥料30号」(10-10-10)と化成肥料の砂地での窒素の養分保持量をライシメーター試験で比較した結果を示します(図2)。加里も同様な傾向を示します(石川県砂丘地農業試験場)。

写真4 光学顕微鏡で見た天然腐植入り肥料の断面
写真4
光学顕微鏡で見た天然腐植入り肥料の断面
図2 天然腐植入り肥料の窒素保持量の推移
図2 天然腐植入り肥料の窒素保持量の推移

この結果が示すように、肥料粒中に天然腐植が存在することによって窒素と加里の溶出が緩やかになり、その肥効が持続します。この傾向は肥料の粒径が大きいほど顕著に現れます。

りん酸は土に固定されにくく作物によく吸われる

窒素、加里と同様にりん酸も天然腐植に包まれて溶出しますので、天然腐植入り肥料のりん酸は直接土と接触しにくいので、有効態りん酸として下層まで移動して作物によく吸収されます(図3)。特に、りん酸の効きが悪い砂地や火山灰土壌においてりん酸の肥効が高いことが、他の肥料にない天然腐植入り肥料の大きな特長と言えます。

過石系化成肥料と「くみあい粒状固形肥料2号」(過石系)およびりん安系化成肥料と「くみあい粒状固形30号」(りん安系)を表面散布して、土壌中のりん酸の分布を図3に示します。

「くみあい粒状固形30号」と化成肥料をキャベツ栽培試験で比較した結果を見ると、化成肥料よりりん酸の吸収量が30%以上高く、個体重も増加しています(図4)(愛知県農業総合試験場)。

図3 天然腐植入り肥料の土壌中でのりん酸の移動
図3 天然腐植入り肥料の土壌中でのりん酸の移動
図4 キャベツ栽培試験におけるりん酸の肥効
図4 キャベツ栽培試験におけるりん酸の肥効

細根が多く根張りがよくなる

天然腐植の働きで窒素、りん酸、加里が緩やかに溶け出すことにより、作物の根の伸びをよくして細根を多くします。施肥後、肥料成分がある程度溶出すると、作物の根は肥料の粒の中に侵入し、りん酸と腐植の影響で、さらに細根が多く発生します。このように根張りが良くなることで肥料養分を無駄なく吸収し、環境保全に役立ちます。また、干害にも強く、生育、収量および品質の向上に役立ちます(写真5)。投入された肥料に含まれる天然腐植は作土に残り、連用により蓄積され、土づくりに役立ちます。

写真5 天然腐植入り肥料に絡む細根
写真5 天然腐植入り肥料に絡む細根
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